第59回政令指定都市身体障害者福祉団体連絡協議会で発表された声明について

  1.   >  
  2.   >  第59回政令指定都市身体障害者福祉団体連絡協議会で発表された声明について

第59回政令指定都市身体障害者福祉団体連絡協議会で発表された声明について

2018年9月12日 事務局

平成30年9月8日(土)に横浜市で開催された政令指定都市会議で、連絡協議会が連名で障害者雇用の水増し問題に関する声明を発表しました。以下にご紹介します。


障害者雇用の水増し問題に関する声明

今年度4月より障害者の法定雇用率が0.2%引き上がり、平成33年4月までに、更に0.1%引き上げられることとなりました。しかしながら、中央省庁が雇用する障害者について、雇用者数を水増ししていた問題が明らかになりました。国のガイドラインに反して算入していた雇用者数は3460人に上り、2.49%としていた雇用率も1.19%に半減しました。雇用者数の水増しは長年にわたって続けられており、各地の地方自治体にもこうした問題が波及しています。

障害者雇用は、障害者の自立と社会参加にとって大きな柱であり、厳しい就業環境を改善するための重要な施策です。施策を推進すべき立場にある行政機関が、障害者の雇用の機会を奪い、就労を目指して頑張っている障害者を裏切った行為への責任は重大です。真面目に取組みを進めてきた民間事業者に対する背信的行為であり、制度の根幹に関わる事態として重く受け止めなければなりません。障害者の算定方法に対する行政機関の理解不足が一因とされていますが、数合わせに終始する姿勢そのものが問われています。障害者に対する理解に基づき、施策の根本に立ち返った見直しを行わなければなりません。それは、障害者の雇用のみならず障害者施策全般に関わる問いかけでもあります。

今回の事態を受け、国は原因究明と再発防止の取組みとともに、早急に法定雇用率を達成するとしていますが、33行政機関のうち27もの機関が雇用者の水増しに関与した事実を障害者団体として看過することはできません。制度全般に関わる問題として責任の所在を明らかにするとともに、組織の基本に立ち返った改善策を示すことを強く求めます。雇用率の達成はその第一歩です。その際には、非正規雇用を増やして安易な数合わせに終始することなく正規雇用とすること。また、障害程度の低い人、費用・手間のかからない人を選別して雇用するのではなく、すべての障害者に等しく就労の機会を確保することも強く求めます。検討を進めるにあたっては、障害当事者の参画のもとに、雇用環境の改善、組織のあり方や意識改革等も含めた幅広く内容ある議論を行うことを求めます。チェック体制の整備とあわせて、共生社会の実現に向けた諸施策の実施状況についての点検を行うことも必要です。

障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法が施行され、2年後の2020年には、東京オリンピック・パラリンピックの開催が迫っています。社会のあらゆる分野で、共生に向けた取組みを一層加速していかなければなりません。とりわけ、就労の場は共生社会を具現化していくうえで大切な機会を提供するものです。共に働くことを通じ、多様性を認め合い、障害者の視点を社会に活かしていくことにつながっていきます。国及び地方公共団体は、こうした環境を整え、広く社会に浸透させていくための先導的な役割を果たしていくことが重要です。
私達障害者は、国や地方自治体の職員の方々が、これまで様々な困難を克服しながら障害者の福祉向上に尽力してきたことを忘れてはいません。私たち障害者の心強いパートナーとして、共生社会の実現に向け気概をもって業務に取組んでいただきたいと願っています。

政令指定都市身体障害者福祉団体連絡協議会は、国及び地方公共団体が、今回の障害者雇用の水増し問題について、その原因を徹底的に究明するとともに、上記の観点を踏まえて再発防止に向けた真摯な取組みを行うことを強く訴えます。


平成30年9月8日

政令指定都市身体障害者福祉団体連絡協議会
札幌市身体障害者福祉協会
仙台市障害者福祉協会
千葉市身体障害者連合会
横浜市身体障害者団体連合会
川崎市身体障害者協会
新潟市身体障害者福祉協会連合会
静岡市身体障害者団体連合会
名古屋市身体障害者福祉連合会
京都市身体障害者団体連合会
大阪市身体障害者団体協議会
堺障害者団体連合会
神戸市身体障害者団体連合会
広島市身体障害者福祉団体連合会
北九州市身体障害者福祉協会
福岡市身体障害者福祉協会