名古屋城バリアフリー説明会の参加報告です

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名古屋城バリアフリー説明会の参加報告です

2018年8月3日 事務局

 新聞や各テレビ局のニュースでも報道されましたが、7月24日(火)に名古屋市役所で名古屋城バリアフリー説明会が開催されました。復元する木造の天守閣にエレベーターを設置しない方針の名古屋市は、4年間あれば新しい技術によってバリアフリーが実現すると言います。市内の障害者団体10団体(都合により2団体欠席)に名古屋市が呼びかけ、急きょ開催されたエレベーターに代わる新技術の説明会。その内容をお伝えします。

 

 説明会は河村市長のあいさつで始まり、現在提案されているバリアフリーのアイディアが紹介されたのち、企業4社がプレゼンを行いました。1社のプレゼン終了ごとに障害者団体が意見を求められるという構成です。司会より事前に「質問は発表された技術に関するものだけでお願いします」との注意がありました。

 1社目は介護や医療の現場で働くロボットを製作している企業です。新製品のおしゃれなプロモーションビデオが流れたあと、10年前に開発したという階段を昇降するロボットの説明がありました。機械の脚の上に人を乗せ、左右でバランスをとりながら二足歩行するようすが映し出されました。

「体位を保てない体幹障害の人は乗れそうにない」「高すぎて怖い。特に下り」との意見に対して企業からは、「今ならもう少しましなものが作れる。開発にお金が下りれば技術も進む」との回答がありました。

 もともと車の部品メーカーである2社目は、現在「宇宙への進出」をうたい宇宙探査ロボットの製作に携わったり、コンパクトカーの開発を進めたりしています。提携しているデザイナーが自らプレゼンテーターをつとめて提案したのは、段差を解消する機械ではなくスタイリッシュなデザインの「駕籠」。金比羅山を登る人力の駕籠がイメージです。木造で復元する名古屋城には、あくまでデザイン重視でという趣旨のようですが、「斜度50度で幅の狭い階段をどうやって?」という質問には「これから考える」とのこと。

 

 3社目はエレベーターで有名な会社の同列企業。パワードスーツの提案でした。もともと介護や医療の現場の人が腰痛予防等に使う補助具です。他の企業が開発したことに必要なマンパワーのサポート用とのこと。具体的なバリアフリーのアイディアは提示されませんでした。

 最後に登場したのは、既に階段昇降機で実績を積んでいる会社です。これまでのなかでは一番現実的で、実現性も高そうです。階段に昇降用のいすを取り付けた際のレールの奥行きや折りたたんだ状態のいすの厚みの数字が示されましたが、耐荷重量には建築基準法上の制限があるとのこと。設置にはクリアしなければならない課題が残っているようです。

 車いすユーザーは「昇降機はやめてほしいと言い続けてきた。時間がかかり、振動も激しく、死亡事故も発生している」と危惧の念をあらわしました。また、「そもそも完全復元だからエレベーターはつけないという理屈なのに昇降機のレールはつけるのか?」「このシステムも10年変わっていない。10年進まなかった技術が4年で進むのか?」との疑問の声が上がりました。

 説明会の終了後、隣り合って座っていた市長と障害者団体の代表のひとりが言葉を交わし始めました。たちまちカメラやマイクが二人のもとに集まります。市長は完全復元と新技術のバリアフリーの話を繰り返し、それに対して車いすの人が首を横に振るという構図がマスコミの注目を浴びていました。

※プレゼン内容説明の写真は当日資料より転載させていただきました。